総務相の諮問機関「ふるさと納税研究会」が検討していた「ふるさと納税制度」について、最終報告書が公開されています。
総務省ではこの報告書をもとに法案をとりまとめ、来年度税制改正での成立を目指すようです。
まとめられた最終報告書によると、「ふるさと納税制度」の仕組みは、現在の寄附金税制を応用(改正)し、自治体に寄附をした場合に住民税から一定の税額控除が受けられるようにするというものです。
なお、寄附の対象となる自治体の範囲については、「定義しても確認することが困難」などの理由により限定されないことになりました。
今回公開された「ふるさと納税制度」を簡単に言うと、自治体に寄附した金額から5千円を差し引いた残りの額が、そのまま住民税と所得税から軽減される(住民税額の10%上限)制度です。
具体的には、以下の計算式で算出した控除額を住民税所得割額から控除できる(住民税所得割額の10%上限)ことになります。
■控除額=[寄附金の額]−[適用下限額5千円]−[所得税寄附金控除における軽減税額]
なお、この計算式における適用下限額5千円は、少額の寄附金に係る自治体の事務負担が考慮されるとともに、この下限額が無い場合ではケースによって寄附をした金額すべてが控除されることになり、寄附金に係る納税者の真剣さが損なわれる危険性があるとされたものです。
また、住民税には都道府県民税と市町村民税がありますが、税率(都道府県民税4%、市町村民税6%)の比率に従ってそれぞれ税額控除されることになっています。
ところで、同報告書においては、「ふるさと納税制度」の主な反対意見として挙げられている、税の「受益と負担」と「公平の原則」の問題にも触れています。
すなわち、「受益と負担」については、現在のように人の移動が頻繁な時代においては、生涯を通じた長い時間軸における「受益と負担」を検討する必要があるとし、これを同制度の有力な論拠としています。
また、「公平の原則」については、住民税額の減少がどの程度まで認容されるかという問題だとしています。この結果として、同制度における「住民税所得割額の10%」という上限額が設定されたということでしょう。
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