厚生労働省が公表した「平成20年度 厚生労働省税制改正要望項目」では、国民の健康増進策として「たばこ税」の税率アップが要望されているほか、メタボリック症候群の検診等に対する医療費控除、介護費用に係る所得税等控除、個人型確定拠出年金の拠出限度額の引き上げなど、非常に多くの税制要望を出されています。
その中でも、今回、特に要望数が目立つのが「健康な生活と安心で質の高い医療の確保」と銘打たれた医療機関に対する各種税制優遇策です。
その一つは「医療法人制度の充実」です。
医療法人は日本全国で4万1720件(2006年3月末現在)あり、全国の病院の半数以上(約60%)を占めています。
しかし、税制面における医療法人の扱いは、特別医療法人(医療法)、特定医療法人(租税特別措置法)などに対する優遇制度はあるものの、その他は通常の法人とそれほど違いがあるわけではありません。
老人介護や障害者支援などを行う社会福祉法人に比べると著しく不利であり、こうしたことが現在の医療制度の不安定さを招いているという指摘もあります。
また、平成18年の医療法改正において、社会医療法人や基金拠出型医療法人など、医療法人類型の改革が行われたことに伴い、必要とされる税制度についてもまだ未整備です。
このような背景から、厚生労働省は医療法人に関わる税制について、以下のような措置を求めています。
■医療法人
・法人税率を22%(公益法人の収益事業と同率)に軽減
・社会保険診療以外部分に係る事業税の軽減措置を存続
■特定医療法人
・医療保健業に係る法人税の非課税措置
■社会医療法人
・医療保健業に係る法人税の非課税措置
・収益業務の法人税率を22%に軽減
・社会医療法人への寄附金に係る寄附金控除策(所得税、法人税、相続税)を創設
■新たな医療法人類型への移行
・現行の医療法人からの移行(解散→設立)に際し、贈与税の課税基準緩和、みなし配当所得課税の繰り延べ、出資持分を放棄した際の寄附金不該当。
さらに医療法人以外の医療機関に対しても「医療提供体制の充実」として、以下のような措置が求められています。
・正常分娩等の自由診療報酬に係る事業税の非課税措置
・病院、診療所の建物の法定耐用年数を実態に即して短縮
・病院勤務医の休日・夜間勤務手当等に係る所得税の非課税措置
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