近年、既存の銀行融資が伸び悩む中で、アマゾンなどのネット通販業者による融資サービスが拡大しています。
同じ融資とはいっても、銀行とネット通販業者ではその内容は大きく異なります。
ポイントは決算書を必要とするか否かにあります。
融資に際して、銀行では決算書が必須ですが、アマゾンでは不要です。
アマゾンの判断根拠は、唯一自身の販売モールにおける商品の販売実績だけです。
商品の販売状況から融資金額を決定し、その販売代金から融資金の返済を行います。
これは決算書の財務的審査に重点を置く銀行の融資の弱点をカバーしています。
そこで、銀行が行う決算書審査による融資にはどのような弱点があるのか考えてみます。
一つは、決算書の正確性です。
ほとんどの非上場企業は会計監査人の監査を受けていませんから、会社外の人間による決算書の正確性の担保はなされていません。
決算書の正確性はもっぱら決算書を作成する経営者に依存します。
もう一つの決算書審査の問題点は、決算書に表現されている数字はあくまで過去の実績であり、融資金の返済が要請される将来時点での確実性を保証するものではないということです。
過去の実績が悪くても、現在の取扱商品が売れて、将来返済できる力があれば、融資できますし、逆に過去の実績が良くても、現在の商品の売れ行きが悪ければ、融資は妥当ではありません。
そうしたことを決算書から読み取ることは簡単なことではありません。
決算書を不要とするアマゾン型融資は、こうした銀行の悩みを見事に解決しています。
問題なのは、リアルタイムの企業の実態です。
アマゾンモールに出品している商品の販売状況を見れば、企業の現在の本当の実力がつかめます。
決済もアマゾンの口座を通す限り、資金トレースができますから、返済財源の確保も容易です。
アマゾンに出品している商品が実質的に担保になりますから、不動産担保や保証人も不要です。
さらに銀行における決算書の審査は現場である支店の担当者の起案からはじまって、課長、支店長の決裁、そして金額次第では本店の決裁も必要になりますから、かなりの日数がかかります。
それに対し、アマゾン型融資はモールに出品している商品の売り上げ状況をコンピュータで判断するだけですから、銀行よりずっとスピーディーに決定できます。
アマゾン型融資で対応可能なのはアマゾンに出品した商品関連の運転資金だけであり、今後の企業の浮沈がかかる設備投資などの大型融資には向いていません。
したがって、アマゾン型融資が企業金融の主流となることはありません。
ただ、このアマゾン型融資が銀行型融資の脆弱性を補い、しかも、顧客の利便性の向上に寄与していることは間違いありません。
銀行にとって、アマゾン型融資が一つの脅威となることは事実でしょう。
また、銀行に対して、決算書の財務的数値をモノと関連して裏付けることの重要性を再認識させているともいえます。
(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)
記事提供:ゆりかご倶楽部

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