FIT(Foreign Individual Tourist:海外個人旅行者)の市場拡大に伴い、全国の温泉宿泊施設においてもインバウンド(訪日外国人旅行)の推進が求められています。
日本人旅行者と比較した訪日外国人旅行者の特徴として、前もって予約を入れるケースが多いことや連泊が多い傾向にあることなどから、外国人旅行者を宿泊客として取り込むことで宿泊施設の稼働率上昇が期待できます。
その一方で、外国人旅行者を受け入れるには設備の充実、インターネット環境の整備、多言語化への対応などといった受入体制の整備を図ることが求められます。
こうした状況を受けて観光庁では、2016年3月に策定された「明日の日本を支える観光ビジョン」で掲げられた訪日外国人旅行者数2020年4千万人、2030年6千万人への実現に向けて、ソフト面からの受入環境整備を通じた訪問時・滞在時の利便性向上を図るため、宿泊事業者等に対する補助金の交付を行うことにより、訪日外国人旅行者の受入環境整備を加速化することを目的とした「宿泊施設インバウンド対応支援事業」を実施しています。
この事業は、複数の宿泊事業者が共同して、当該宿泊事業者の訪日外国人旅行者の受入能力及び生産性を向上することに要する経費の一部を補助するものです。
具体的な補助対象事業の例としては、館内及び客室内のWi-Fi整備、トイレの様式化、自社ウェブサイトの多言語化、テレビの国際放送設備の整備、案内表示の多言語化、客室の和洋室化などがあげられます。
このように、温泉宿泊施設によるインバウンド推進においては、外国人旅行者受入れに向けたハード面、ソフト面の環境整備が求められるのです。
では、温泉宿泊施設によるインバウンド推進には具体的にどのような取組みが求められているのでしょうか。
ここでは兵庫県豊岡市の城崎温泉の取組みについてみていきたいと思います。
城崎温泉は、官民一体で2016年に開催された「温泉総選挙」において「インバウンド(外国人観光)部門」1位に選ばれました。
城崎温泉は7つの外湯を中心に木造3階建ての旅館が立ち並ぶ情緒あふれる温泉地で、浴衣を着て外湯に入り街歩きを楽しむことが魅力となっています。
温泉宿泊施設の宿泊客には7つの外湯に一定の時間自由に入ることができるバーコード読取式のデジタル外湯券「ゆめぱ」が提供されています。
また、街の随所に浴衣の着こなしのアドバイスをしてくれる「ゆかたご意見番」が設置されています。街並みは大正・昭和時代からの雰囲気を残しており、美しい景観の維持に街全体で取り組んでいます。
こうした日本らしさや温泉情緒を求めて外国人旅行者が多く訪れており、ここ数年で外国人観光客数が急増しています。
台湾、香港、中国などに加え、米国、オーストラリア、フランス、英国などからの旅行者も高い割合を占めています。
その背景として2012年に海外のガイドブックに取り上げられたことを契機に、外国人向け宿泊予約サイトの運営、英語対応の観光案内所の開設、フリーWi-Fi環境の整備など外国人旅行者に向けた環境整備を充実させていることがあげられます。
このように、温泉宿泊施設によるインバウンド推進においては、温泉宿泊施設だけでなく温泉地全体で訪日外国人旅行者の受入環境整備を行うことが求められるのです。
(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)
記事提供:ゆりかご倶楽部

■国税庁HP新着情報 6月23日朝時点での新着情報は、以下の通りです。
国税庁ホームページ掲載日:平成29年6月22日
●「財産評価基本通達」の一部改正(案)に対する意見公募手続の実施について(e-Govへリンク)
■財務省 各年度別の税制改正の内容
■ご意見箱 財務省 |
|


|