株価の好調が続いていますが、この株価上昇には二つの対立した見方があります。
一つは実体経済に裏打ちされたもの、もう一つは余剰マネーによる金融相場だとするものです。
前者だとすれば、今後ともある程度長期間にわたる株価上昇が期待できますし、後者だとすれば、いわゆるバブルであり、マネーの流れが変わった時の下落を覚悟しておかなければなりません。
「バブルははじけて初めてバブルと分かる」
これはかつてのFRB議長アラン・グリーンスパン氏の言葉です。
この言葉から分かるとおり、今の段階でバブルかどうかは定かではありません。
ただ、カネ余り状態は恒常化しており、バブルの危険性は頭の片隅に置いておいた方がいいのかもしれません。
金融は金融だけでは収益を生まず、実物経済を豊かにすることを通して初めて収益を獲得するというのが、本来の姿です。
ところが、バブルでは、金融が実物経済と乖離してひとり歩きをはじめます。
資本主義が発達すると投資のフロンティアが減少し、実物経済の成長率は低下していきます。
一方、資本主義の成熟に伴いマネーの蓄積は益々進みます。
すると、マネーの実物経済に対する収益効率は下がっていきます。
現在の日本の預金金利はほとんど0%に近い水準ですが、それは金融当局の意向で決まったものではなく、実物経済の成長率に依存したマネーの収益率に他なりません。
マネーの収益率である金利は実物経済に貢献することで収益をあげるということを是認すれば、雀の涙ほどの預金金利もうなずけます。
しかし、人間はそれほど理性的ではありません。
より高い収益性を求めてマネーをどこかに振り向けようとします。
株式などの金融資産がその対象となります。
多くの人が同様な投資行動を取ると、値上がりが値上がりをよぶバブルが発生するのです。
ただ、実体経済と遊離したバブルである限り、はじけることも必然です。
バブルは資本主義経済である限り不可避であり、バブルは必ず発生するという前提で対処した方がよさそうです。
バブルにまったくかかわらず、低い預金金利で我慢し続けるというのも有力な対処法です。
一方、バブルにかかわるのであったら、「早く乗って早く降りる」ことが求められます。
特に早く降りることが重要です。
ピークで売り抜こうとすると、売り時を逸します。
シティグループの元のCEOプリンス氏は、かつてのサブプライムローンで生じた金融危機について、「音楽が鳴り止まない限りダンスは止められない」と述べたそうです。
バブルの本質を突いた名言です。
危ういとは分かってはいても、音楽は鳴り、他の皆が楽しく踊っているのに、自分だけ踊りを止めるわけにはいかないというのです。
しかし、これからの投資家に求められる不可欠の素養は、皆が楽しく踊っている(他の人は儲かっている)のに、いや踊っているからこそ、そこから降りる勇気なのではないかと思います。
(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)
記事提供:ゆりかご倶楽部

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