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2019年1月の税務トピックス【仮想通貨に関する税務上の取扱い】

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はじめに

 近年、ビッグデータ、ソーシャルメディアなどのICTのサービス及びビジネスの進展等を背景にインターネットを通じて電子的に取引される仮想通貨(例:ビットコイン、イーサリアム等)の取引が急増しているようです。

 こうした中、平成30年11月21日に「仮想通貨に関する税務上の取扱いについて(FAQ)、以下単に「FAQ」といいます。」が国税庁から公表されました。

 そこで本稿では、公表されたFAQの概要と実務上の留意点について解説します。


T 所得税・法人税共通関係

1.仮想通貨を売却した場合

 保有する仮想通貨を売却(日本円に換金)した場合の所得金額は、その仮想通貨の売却価額から売却した仮想通貨の取得価額及び売買手数料等の経費の額の合計額を控除した金額とされます(問1)。

 なお、購入した仮想通貨の取得価額は、その支払対価に購入手数料等の付随費用を加算した金額とされます(問4)。

2.仮想通貨で商品を購入した場合

 保有する仮想通貨で商品を購入した場合には、保有する仮想通貨を譲渡したこととされ、その所得金額の計算は、前述した1と同様とされます(問2)。


U 所得税関係

1.仮想通貨の所得区分

 仮想通貨取引により生じた損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、事業所得又は雑所得に区分されます(問7)。

2.仮想通貨の取得価額の計算方法

 仮想通貨の取得価額は、原則として「移動平均法」で計算することとされます。
しかし、継続適用を要件に「総平均法」で計算することもできます(問11)。

3.仮想通貨の必要経費

 仮想通貨の経費の額は、その取引の記録に基づいて業務の遂行上直接必要であることが明らかに区分できるものとされます。

例えば、インターネット及びスマートフォン等の回線利用料、パソコン等の減価償却費が想定されます(問8)。

4.年間取引報告書の送付

 平成31年1月末までに国内の仮想通貨交換業者を通じた仮想通貨取引について、@年始数量、A年中購入数量及び金額、B年中売却数量及び金額、C移入数量、D移出数量、E年末数量、F損益合計、G支払手数料が記載された「年間取引報告書」が納税者(顧客)に対して送付予定とされています。

 なお、仮想通貨の売却・購入が外貨で行われていた場合の年間取引報告書の各項目の記載は、取引時の電信売買相場の仲値(TTM)で円に換算した金額とされます(問10)。


V 相続税・贈与税関係

1.相続又は贈与により取得した場合

 仮想通貨については、「代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができる財産的価値(決済法2D)」と規定されていることから、被相続人又は贈与者から相続若しくは遺贈又は贈与により取得した場合には、相続税又は贈与税が課税されることとされます(問15)。

2.仮想通貨の評価方法

 仮想通貨の評価方法は、「評価方法の定めのない財産の評価(財基通5)」の規定に基づき、次のとおりとされます(問16)。

@ 活発な市場が存在する仮想通貨は、相続人等の納税義務者が取引を行っている仮想通貨交換業者が公表する課税時期における取引価格によって評価することとされます。

A 活発な市場が存在しない仮想通貨は、その仮想通貨の内容、性質及び取引実態等を勘案し、個別に評価(例:売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価する方法)することとされます。


おわりに
 平成30年11月21日に「仮想通貨の計算書(総平均法用)」が国税庁ホームページで公表されています。

この計算書は、前述したU4.の「年間取引報告書」に記載された各項目を入力(Excel)すれば簡単に所得金額を計算することができます。

 なお、平成29年分以前の確定申告において売却した仮想通貨の取得価額を移動平均法で計算されていたとしても、平成30年分以後は継続して適用をすればこの計算書によって「総平均法」で計算することもできます(問11)ので、実務上活用して下さい。


税理士法人右山事務所 所長 宮森俊樹


記事提供:ゆりかご倶楽部


マルチーズのみずき


参考URL


国税庁HP新着情報(国税庁トップページ)



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