◆配当金を巡る3つの課税方式
上場株式の配当金が支払われる際には、所得税等が源泉徴収されます。
復興特別所得税を除き、税率は、20%(所得税15%、住民税5%)です。
上場株式の配当金について総合課税を選択すると、配当控除が適用できます。
上場株式の配当金について申告分離課税を選択すると、上場株式等の譲渡損失との損益通算や繰越控除の適用を受けることができます。
また、申告不要(源泉分離課税)を選択することもできます。
◆選択の基準
所得税の累進税率から配当控除率(10%)を引いた差引税率が源泉税率(15%)に満たないのは、23%−10%=13%<15%なので、累進税率23%の適用となる課税所得金額900万円以下の場合、所得税での総合課税選択有利の指標となります。
また、住民税は、10%の一律課税なので、配当控除率2.8%を引いた差引税率は、10%−2.8%=7.2%>5%(特別徴収税率)となり、常に特別徴収税率を超過するので、総合課税の選択は、税負担的に不利です。
それで、所得税では総合課税の選択をし、住民税では、申告不要(源泉分離課税)を選択するのが、有利となります。
その上、申告不要の選択で、住民税の合計所得金額が減るので、国民健康保険等の保険料や医療機関における窓口負担額を減らす効果もある、と言われています。
◆朝令暮改的な今年の改正
昨年の税制改正では、所得税確定申告書の中の記載だけで、所得税と異なる住民税の課税方式選択が完結できるよう、手続の簡素化がなされました。
ところが、このように制度の普及促進をしたばかりなのに、今年の改正では、異なる課税方式選択可能制度を廃止し、所得税と住民税との課税方式を一致させることにしました。
この改正は、令和6年度分以後の個人住民税について適用です。
そうすると、令和5年分からの所得税確定申告では、所得税と住民税の両方の税負担合計を計算して、総合課税(配当控除)と申告不要(源泉分離)との選択をすることになります。徴収税率20%と比較すると、
(23%+10%)−(10%+2.8%)=20.2%
(20%+10%)−(10%+2.8%)=17.2%
となるので、総合課税選択は、累進税率20%の適用となる課税所得金額695万円以下の場合ということになります。
記事提供:ゆりかご倶楽部
[Studying English]
参考URL
■国税庁HP新着情報(国税庁トップページ)NATIONAL TAX AGENCY
7月5日朝時点での新着情報は、以下の通りです。
国税庁ホームページ掲載日:2022年7月4日
≪トピックス≫
●【重要】台風4号接近に伴う国税専門官採用試験第2次試験実施に関するお知らせについて(人事院ホームページへリンク)
≪法令等≫
●「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)
●「租税特別措置法に係る所得税の取扱いについて」の一部改正について(法令解釈通達)
●「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律関係通達(所得税編)の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)
●「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律関係通達(所得税編)の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)
●相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)
≪お知らせ≫
●「特定個人情報保護評価書(全項目評価書)(案)」に対する意見募集について(e-Govへリンク)
■財務省
・財務省 各年度別の税制改正の内容
□総務省 税制改正(地方税)
■ご意見箱 財務省
□法令解釈通達 |国税庁
■消費税の軽減税率制度について|国税庁
◆国税不服審判所/公表裁決事例
◆国税庁/税務訴訟資料 |
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