国税庁の最新データによると、依然、物納件数が減少しています。これで平成11 年以降、9年連続の減少となりました。
最新データによると、平成19 年度の物納申請は383件で前年度比37%、金額にすると235億円でこちらは前年度比49.8%となっています。
これにともない処理件数は1370件(同46.1%)となり、金額では1191億円(同63.7%)、処理未済も859件(同46.5%)といずれも減少しています。
この件数減少について国税庁は、「諸々の要因が総合的に勘案されたためと考えられる」としていますが、主な要因として、地価の上昇と物納制度の手続き変更が大きく影響しているものと考えられます。
物納制度の手続き変更前は、納付期限までに物納申請書を提出すれば、物納財産を国が収納するために必要な「物納手続関係書類」については後から提出しても問題にはなりませんでした。
しかし物納制度の改正で、同18年4月以降の相続から、物納申請書と物納手続関係書類は同時に提出しなければならなくなり、申請だけして書類を準備する間にほかの売却先を探すという、いわゆる「とりあえず物納」ができなくなりました。
そのため、手続き的な手間と「とりあえず物納」のメリットがなくなったことから、物納利用がここ数年減っているものと考えられているわけです。
改正前は許可までに時間がかかるといわれた物納制度ですが、改正後は、申請から3カ月以内に許可または却下を決める「審査期間」が定められ、「いまのところ遵守されている」(同)ようです。
ただ、多くの税理士が「納税者の負担は増え、使い勝手の良い制度なのかは疑問」という声が聞こえてきます。
(エヌピー通信社)
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