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逓増定期保険の取り扱い変更について意見募集 国税庁

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 国税庁が「法人が支払う長期平準定期保険等の保険料の取扱いについて」の一部改正案に対する意見公募手続を実施しています。
これは、これまで中小企業の節税策として活用されていた「逓増定期保険」について、税務上の取り扱いを変更することを主旨としたものです。

 逓増定期保険とは、保険料が一定のまま保障額が増えていく仕組みの死亡・高度障害保険で、中小企業が経営者、役員、使用人を被保険者として加入するケースが多いのが特長です。

 現行の法人税通達では、この逓増定期保険において、「保険期間満了の時における被保険者の年齢が60歳を超え、かつ、当該保険に加入した時における被保険者の年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が90を超える」場合、保険期間の60%に相当する期間において支払う保険料のうち、2分の1から4分の3を前払保険料として資産計上する必要があります。(昭和62年直法2-2 平成8年課法2-3改正)

 しかし、逆に言うと「保険期間満了の時における被保険者の年齢が60歳以下」、または「加入時の被保険者の年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が90以下」の場合は、支払った保険料を全額支払った事業年度の損金に計上することができました。

 これを利用して、利益が多大に出た事業年度に逓増定期保険に加入することで利益を圧縮するという法人税の節税策が盛んに行われていたのです。

 今回の国税庁の対応は、この取り扱いを大幅に見直すものです。
 具体的には、前述の通達に規定する逓増定期保険の範囲を「保険期間満了の時における被保険者の年齢が45歳を超えるもの」まで引き下げるとともに、保険期間の60%に相当する期間において支払う保険料のうち、前払保険料として計上する基準の各区分が以下のように見直されます。

2分の1を前払い保険料として計上
(従来)
保険期間満了の時における被保険者の年齢が60歳を超え、かつ、当該保険に加入した時における被保険者の年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が90を超えるもの
(改正案)
保険期間満了の時における被保険者の年齢が45歳を超えるもの

3分の2を前払い保険料として計上
(従来)
保険期間満了の時における被保険者の年齢が70歳を超え、かつ、当該保険に加入した時における被保険者の年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が105を超えるもの
(改正案)
保険期間満了の時における被保険者の年齢が70 歳を超え、かつ、当該保険に加入した時における被保険者の年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が95を超えるもの

4分の3を前払い保険料として計上
従来どおり

 これにより、大半のケースで逓増定期保険の節税効果が激減するのは間違いありません。国税庁では、1月末まで意見を募集した上で、早ければ2月には通達を改正したい考えです。




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