年内という期限付きで「自社株買い」の規制が緩和されたことにともない、株式売却税務への関心が高まっています。
個人が株式を譲渡した場合にかかる税金は、譲渡所得課税とみなし配当課税があり、上場株式か非上場株式かで取扱いが大きく異なります。
個人が所有する上場会社株式を、上場会社等の市場買付け、または、公開買付けによる自己株式の取得に応じて発行法人に売却した場合には、株式の譲渡所得課税のみとなり10%(所得税7%、住民税3%)の申告分離課税で完了します。
譲渡所得課税だけでなく、みなし配当課税の対象にもなるのではと心配する株主もいるようですが、上場株式を証券会社を通じて売却する場合にはみなし配当は行われません。
しかし、これが非上場株式の場合だと違います。
非上場株式を発行会社に売却した場合、売却価額がその株式に対応する資本金等の額を超える部分については、みなし配当があったものとしてまず源泉徴収(20%)の対象となります。
そして確定申告によって最高50%という高率の総合課税の対象となり、その株式に対応した資本金等の額と取得価額との差額が株式譲渡損益となるのです。
こちらの税率は20%(所得税15%、住民税5%)で上場株式の場合の2倍。
ひとつの取引のなかに、みなし配当課税と株式譲渡所得課税が混在しているため非常にややこしいうえ、上場会社株式と比べると税負担のかなり大きい仕組みになっているのです。
ただし例外規定もあります。
相続によって非上場株を取得したケースで、相続税の申告期限から3年以内にその非上場株を発行会社に譲渡した場合は、みなし配当課税は行われません。
かつてはみなし配当課税の対象とされていましたが、平成16年度税制改正によって、それまでみなし配当として扱われていた部分も含めて譲渡所得課税扱いとなったのです。
(エヌピー通信社)
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