中小企業庁はさきごろ、「経営承継法における非上場株式等評価ガイドライン」を公表しました。
昨年5月に成立した「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(経営承継円滑化法)」では、遺留分に関する民法の特例として、
@贈与株式等を遺留分算定基礎財産から除外できる(除外合意)、
A贈与株式の評価額をあらかじめ固定できる(固定合意)ことーを可能としました。
これは、@によって、事業継続に必要な自社株式について遺留分減殺請求の対象になることを防止、
Aによって、後継者の貢献によって上昇した株式価値が遺留分減殺請求の対象になることを防止することが狙いです。
しかし、固定合意する際の自社株の評価に当たっては、税務上利用される評価方法はあるものの、遺産分割や遺留分減殺請求などにかかる民法上の非上場株式等の評価方法について確立したものはありませんでした。
また、税理士や公認会計士、弁護士らが「合意の時における相当な価額」であることを証明する必要があるため、評価する際のガイドラインをまとめたものです。
一部専門家の間では、相続税、贈与税で用いられる財産評価の価額と、「固定合意」における価額との間で差額が出てきてしまう場合、どのような考え方をすればよいのかという疑問の声も聞かれました。
この点、同ガイドラインでは、合意時価額が贈与税の価額を上回った場合には問題がない。
合意時価額が贈与時点の価額を下回った場合には、いずれが相続税法上の「時価」として妥当であるかなどを見極めて納税申告するとしており、さらに合意時価額を決めるに当たっては、後継者と非後継者との間で、国税庁方式とそれ以外の評価方法とで、情報の共有があれば国税庁方式で問題ないとしています。
この民法特例の規定は、今年3月1日から施行されています。
(エヌピー通信社)
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