サイボウズが減速した。営業利益が55%ダウンしたというのである。
新聞報道によると、売上の減少要因は通信事業の売却によるところが大きく、また、ソフト事業のライセンス販売や更新も減っているということだ。
サイボウズは日本の中小企業にグループウェアという優れたコミュニケーションツールを普及させたパイオニアである。
しかしサイボウズの経営状況からみてもわかるように、この流れが「踊り場」に来ているのは間違いない。
なぜ低価格グループウェアの先駆者、サイボウズは失速したのだろうか。
不況の影響もあるだろう。
しかしグーグルをはじめ、フリーで機能が豊富なソフトがインターネット上に溢れる時代となり、その影響も大きいはずだ。
ITは重要な経営支援ツールである。しかしだからといってIT化すれば近代的な経営ができるかというと、必ずしもそうとは限らない。
いまやほとんどの企業でメールが使えるインフラが整った。
誰もが名刺に個人メールアドレスを記載する時代となった。
しかしメールソフトを導入したことによって、社外とのコミュニケーションは本当に活性化しただろうか。
社内の情報共有は促進されただろうか。
メールがあることによって新たな脅威にさらされ、セキュリティ強化のための追加投資や社員の教育が必要となった企業も多い。
WEBの閲覧についても然りである。
外部のネットワークと常時接続できるようになり、便利さよりも未知なる脅威にさらされ、そのことに対する心理コストや時間コストが増大してはいないか。
基幹インフラならともかく、グループウェアのようなコミュニケーションツールは、利用者の成熟度によってはIT化が裏目に出る場合もある。
ここで経営者に理解してほしいのは、ITはただの道具であり、道具によって踊らされてはならないということだ。
ご存知だろうか。フリーソフトはまだ信用できないと毛嫌いしている企業ほど、ITベンダーに「ご意見伺い」して他社の成功事例を鵜呑みにし、都合のいいように振りまわされてしまっている事実を。
フリーで利用できるグループウェア(たとえばGoogleカレンダーや、Gmailなど)を活用する企業ほど情報システムに完璧さを求めず、道具だと割り切り、システムを使い倒そうとする傾向が高いこととは対照的である。
経営者にとって重要なことは、成果がいつ、どれぐらい出るのか、ということだ。
それをもたらさないコストは、1円も1秒も必要ない。
今の時代、必要なときに、必要な分だけ、経営リソースは存在すればいいと経営者たちは考えるようになってきた。
雇用形態が多様化したように、ITの所有形態も変わるのは間違いない。
サイボウズでさえその波に抗うことができないでいる。「クラウドコンピューティング」の時代はすぐそこまで来ている。
※クラウドコンピューティング:インターネット上にグローバルに拡散したコンピューティングリソースを使って、ユーザーに情報サービスやアプリケーションサービスを提供するという、コンピュータ構成・利用に関するコンセプト(了)
記事提供者:アタックス 横山 信弘
ゆりかご倶楽部
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