2012年は日本のLCC(格安航空会社)元年です。
LCCのチケット価格は大手航空会社が割安で販売している「旅割」「先得」などの半額〜70%。
定価がないため、予約の時期や搭乗時期によってはもっと安く手に入ることとなります。
いまや海外では、LCCは大手航空会社と肩を並べごく一般的となっていますが、ようやく日本でも日本企業の航空会社が飛行することとなりました。
すでに海外資本のLCCが関西国際空港を中心に続々と日本に就航していますが、3月には関空を拠点とする「ピーチ」(ANAが出資)、8月には成田国際空港を拠点とする「エアアジア・ジャパン」(ANAが出資)、さらに成田・関空を拠点にする「ジェットスター・ジャパン」(JALが出資)が相次いで就航する予定です。
具体的には、今までの大手航空会社のサービスとどのような違いがあるのでしょうか。
まずは、1機当たりのキャビンアテンダントの数が違います(B737で大手5〜7人、LCC2〜3人)。
LCCは飲み物や食事、毛布、枕、イヤホンなどすべてが有料で、機内サービスがほとんどないためです。
シートピッチもかなり狭く、背もたれのボックスがない機体もあります。
もちろん雑誌なども置いていません。
機内の清掃も業者ではなく、パイロットを含めた乗員が行います。
販売手数料に関しても極力少なくおさえるため、旅行代理店を通さず、直接カウンターかインターネットで購入する仕組みをとっています。
LCCは航空運賃を安くするため、削れるところは徹底して削り、付加サービスはすべて有料としているわけですが、それでも経営は成り立つのでしょうか。
実は、乗客サービスだけではなく、経営努力は顧客に見えないところでも様々に行われているのです。
まず、1機当たりの稼働時間は大手が9時間/日に対して、LCCは概ね16時間/日と、駐機時間を減らし、駐機料金の削減と回転数を高めています。
飛行場に降りて乗客を降ろし、機内清掃し、折り返しで顧客を乗せ、飛び立つまでの時間が大手の場合で約1時間かかりますが、LCCは約30分と半分の時間で行っています。
機体そのものも大手航空会社の中古をリースで使用し、機体整備は自前の設備は持たず委託している会社もあります。
細かいことでいえば、事務所の机や椅子、パソコンなどは中古で賄っているというところがほとんどです。
こうした経営努力によって、LCCは世界中でシェアを伸ばしています。
列挙してみると、とにかく安いだけではないか、と思われるかもしれませんが、航空会社にとって重要な安全性については、逆に大手以上にコストをかけています。
例えば、乗務員教育に費やす時間が長いことなどです。
世界の標準になりつつあるLCCですが、いまだに死者を出すような航空機事故を起こしていないことが、これらを象徴しているといえるでしょう。
LCCの経営から学べることは多くあります。
例えば、徹底した「コスト意識」などについては他業界でも求められているのではないでしょうか。
その業界では常識になっていることを一度ゼロベースで見直すことによって、無駄がみえてくることもあるでしょう。
(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)
記事提供:ゆりかご倶楽部
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