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HOMECONTENTSタックスニュースタックスニュース平成25年タックスニュース 2013.04.26


M&Aによる事業承継

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 中小企業を取り巻く経営環境が目まぐるしく変化する中、従業員の雇用を維持・確保するためにも事業承継を円滑に推進することは重要です。

 事業承継にあたりまず直面する課題として、後継経営者の確保があげられます。

中小企業の経営者にとって、親族内に後継経営者の候補がおりかつその候補者に事業を承継する意思があれば、親族内承継という形で事業を承継することができますが、候補が見つからず適わない場合も多くみられます。

 その場合は、従業員や主力取引先などから後継経営者の候補を見つける親族外承継の方法を取るケースが考えられますが、もう一つの選択肢として、自社の事業に関心のある企業に自社の株式等を売却して経営を引き継いでもらうM&Aによる事業承継が考えられます。

 M&Aによる事業承継においては、買い手企業にとっての事業性が最も重視されます。

このため、売り手企業の事業や経営資源が買い手企業の経営戦略に合致するかが、M&A による事業承継が行われるうえで重要な要件となるのです。

 また、M&Aによる事業承継においては、「企業から企業への事業承継」という性格上、組織文化の異なる企業同士が融合することによる組織的な軋轢が生じるリスクがあります。

一般的な事業承継に比べて、売り手企業側の従業員の人身を掌握する努力がより一層求められます。

 このためM&Aによる事業承継では、求心力を得られる人物が買い手企業側から配置され、売り手企業側の従業員にとって納得性のある施策を行うことが極めて重要となるのです。


 M&Aによる事業承継を行ううえでは、具体的にどのように留意する必要があるのでしょうか。

 それを理解するためにM&Aによる事業承継を推進した印刷業者A社(売り手企業:従業員数60人)とB社(買い手企業:従業員数360人)の取組をみていきましょう。

 A社は、小ロットの印刷を得意とする印刷業者で、面倒で細かい仕事もベテランの職人によって素早く作業できること、製本に至るまで一貫して行うことができることを強みとしていました。

しかしA 社の経営者には親族内に後継経営者がおらず、親族外の従業員に事業を承継しようとしても、A社の借入金の多さが障壁となっていました。

 B社はA社の協力工場であり、小ロット印刷及び短納期生産について強みを有するA社が協力工場として無くなることに危機感を持ち、A 社の株式を取得し、A 社をB 社の100%子会社としました。

 A社の新しい社長には、B 社で海外現地法人立ち上げや、国内外の工場長を歴任した「人事・組織のプロ」である現社長が就任しました。

 現社長は、「何もわからない人間が上に来るのだから社員に不安を抱かせないようにしなければならない」「どんな会社にも核となる人物がおり、彼らを味方にする必要がある」という考えをもって組織改革に取り組みました。

 M&Aによる事業承継は、人心の掌握と従業員の特性を見極める能力を有した人物を買い手企業側が配置することが成功の決め手となるケースが多いです。

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)



記事提供:ゆりかご倶楽部
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