日本経済団体連合会(米倉弘昌会長=住友化学会長)では、法人税の実効税率を「アジア近隣諸国並みの25%にまで」大幅に引き下げるべきだとする政策提言「地方法人課税のあり方」を発表していますが、
このなかで地方法人所得課税については、「行政サービスとの関連性が不明確であり、景気により税収が大きく変動し、偏在性も高く、地方税の基幹的税目とするには不適当」だとして、「地方税の枠組みのなかでいかなる改変を加えても地方自治体の安定財源とはなりえない」と分析。
「地方法人所得課税の国税化を図ったうえで、地方交付税、地方譲与税などもあわせた一般財源を保障する仕組みを構築すべき」だと指摘しています。
また、地方法人特別税については、「制度の創設経緯からして、本来であれば単純廃止が当然」としたうえで、「遅くとも消費税率の10%への引き上げ時までに確実に廃止すべく、平成26年度税制改正で成案」するように提言しています。
経団連が廃止を求める地方法人特別税は、平成20年の税制改正で暫定的に導入されたものです。
地方事業税は大都市に偏在するため、それを是正した地方税体系が構築されるまでの措置として創設されました。
従来の法人事業税の一部を国税に組み替えて徴収し、人口や従業員数を基礎として国が都道府県へ再分配しています。
国税ではあるものの、賦課徴収は都道府県が行い、法人事業税とともに徴収しています。
国税通則法、国税犯則取締法の適用はなく、国税徴収法上も地方税扱いとされるなど、制度の運用は地方事業税とほぼ同じ取り扱いがなされています。
「抜本的な税制改革」の柱として位置づけられている消費税率の引き上げが予定通りに実施されれば、当然、地方消費税の税率もアップします。
これにより財源の偏在性は緩和されるため、もともと「抜本的な税制改革が行われるまでの暫定措置」として導入された地方法人特別税に対して、経団連が「制度の創設経緯」からも「単純廃止が当然」と指摘するのはもっともだといえます。
平成26年度税制改正では、経済界からの廃止を求める要望に加えて、東京、神奈川、愛知、大阪など法人税収の多い自治体からも廃止の声が高まることは必至とみられています。
<情報提供:エヌピー通信社>
記事提供:ゆりかご倶楽部 |
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