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HOMECONTENTSタックスニュースタックスニュース平成26年タックスニュース 2014.05.09


2014年5月の税務トピックス

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T 好循環措置と隠れたる補助金

 平成26年度税制改正において、景気好循環措置として企業側について「雇用促進税制の延長」(新措法42の12@、同法68の15の2@)が措置され、給与等支給額を増加させた場合には、「所得拡大促進税制の見直し」(新措法10の5の4、同法42の12の4、同法68の15の5)が措置されました。

 通常、租税特別措置法(ここでは「措法」と略称します)には、隠れたる補助金の性質を有するものが多いといわれていますが、前記2つの措置は典型的な隠れたる補助金だと考えられますので、その内容を説明し併せて対策についても考えてみたいと思います。

 1 雇用促進税制の延長

 改正前の制度は、青色申告法人が平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する事業年度において適用される制度でした。

 さらに要件としては

(1)公共職業安定所長に次の証明された場合に適用されます。

@ 適用年度及びその前年度において事業主都合による離職者がいないこと、

A その事業年度末の従業員のうち雇用保険一般被保険者の数が前事業年度末に比して10%以上、かつ、5人(中小企業者等については2人)以上増加したこと

(2)なお、税額控除額については、

@ 増加した雇用保険一般被保険者の数×40万円、

A @の控除額は、当期の法人税額の10%相当額(中小企業者等については20%相当額)を限度とします。

 この(1)及び(2)が、さらに2年(平成28年3月31日まで)延長されました。


 2 所得拡大促進税制の見直し

 改正前の制度は、青色申告法人が、平成25年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する事業年度において国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、

雇用者給与等支給額から基準雇用者給与等支給額(多くの場合平成25年3月31日を含む事業年度の当該支給額)を控除した金額、

すなわち「雇用者給与等支給増加額」が基準雇用者給与等支給額の5%(増加率)以上であり、かつ、当該支給額が前年度支給額を下回らないこと及び平均給与等支給額が前年度平均給与等支給額を下回らないことの要件を具備しているときに

雇用者給与等支給増加額の10%相当額の特別税額控除(控除限度額:当期法人税額の10%相当額、ただし、中小企業者等については、20%相当額)ができることとされていました。

 今回の改正において、第1に雇用者給与等増加額5%は、実現が難しいことから旧法期間のうち当初2年間(平成26年4月1日前に終了する事業年度及び平成27年4月1日前に開始する適用年度)については、

当該増加率2%以上とし、残期間の1年間(平成27年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する事業年度)については、当該増加率を3%以上としました。

さらに、本特例期間を2年間(平成28年4月1日から平成30年3月31日までに開始する適用年度)延長し、その期間の当該増加率を旧法と同様の5%以上としました。

 第2に、高齢者の退職と若年者の採用による平均給与等減少という事情を考慮して、平均給与等を下回らないという要件を継続雇用者に対する給与等に見直して算定することに改正されました。

 この改正は、平成26年4月1日以後に終了する事業年度の法人税(所得税については、平成26年分以後の所得税)から適用されます。


 3 隠れたる補助金と対策

 雇用促進税制の延長及び所得拡大促進税制の見直しにより雇用者給与等の増加及び雇用者数の拡大が実務的に可能になってきました。

 ここで重要な視点は、雇用者数の拡大並びに雇用者給与等の増加は、すべて法人税法において損金の対象人数及び損金の対象金額にされたものであり所得の金額に含まれていないものです。

従って、それらを損金の額に算入した後に所得の金額があり法人税額が算定される場合に、さらに税額控除しようということですから正に税額控除は、隠れたる補助金です。

使い勝手が良くなったところで大いに利用しましょう。


U 5月の税務
 3月決算法人の申告があり、又ゴールデン・ウィークの影響もありやや多忙の月になると思われますが、申告期限は6月2日(月)になります。


法学博士・税理士右山昌一郎



記事提供:ゆりかご倶楽部
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