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HOMECONTENTSタックスニュースタックスニュース平成26年タックスニュース 2014.05.23


【時事解説】産業観光の推進による観光振興

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 近年新しいタイプの観光として「産業観光」が注目されています。

2001年に名古屋市で開催された「全国産業観光サミット」によると、産業観光とは「歴史的・文化的価値のある産業文化財(古い機械器具、工場遺構などのいわゆる産業遺産)、生産現場(工場、工房等)及び産業製品を観光資源とし、それらを通じてものづくりの心にふれるとともに、人的交流を促進する観光活動」と定義されています。

産業観光とは、これまで観光資源としてあまり認識されてこなかった産業遺産や老舗中小企業などを観光資源と捉える新しいタイプの着地型観光の形態であるといえるでしょう。

 産業観光のプレーヤーは、企業、地域・自治体、来訪者に大別されますが、産業観光の推進は、3者それぞれにとって意義あるものとされています。

 企業にとっては、消費者の声を直接聞くことができる、企業や製品のPRにつながる、消費者の信頼感を醸成することができる、新たな顧客の開拓につながる、従業員のモチベーション向上や人材育成につながる、社会・地域貢献につながるなどさまざまな意義があります。

その一方で、来訪者への対応や人件費面でのコスト不安、企業秘密情報の流出への懸念など不安材料があるのも事実です。

 地域自治体にとっては、既存の産業立地を活かした新たな観光魅力の創出や地域産業振興、来訪者にとっては、地域や歴史に対する理解促進、個人の興味に応じた楽しみ方の享受などの効果が期待されますので、企業側にとっても地域貢献という視点からも取り組む意義は大きいといえるでしょう。

 では、産業観光の推進による観光振興を行うためにはどのような取組が求められるのでしょうか。

ここでは岡山県倉敷市玉島地区における産業観光推進の事例をみていきましょう。

 玉島地区は倉敷市内でも倉敷地区、児島地区などと比較すると観光資源に乏しいといわれていました。

そのような状況の下で地元コピーライターのA氏が産業観光推進アドバイザーとして玉島地区の産業観光の推進に乗り出しました。

 まず、A氏は玉島地区の中小企業者を1軒ずつ訪問し、工場見学の協力を要請していきました。

協力企業の数は当初の14社から50社へと増加していきました。

こうした現場視察や中小企業へのヒアリングに基づき、A氏は観光のストーリーを組み立てていったのです。

 A氏は、企業側に産業観光への協力を仰ぐ過程で、来訪者に現場を見せて語りかけることで、来訪者に楽しみながら地域にお金を落としてもらうという産業観光の意義を理解してもらいました。

こうして2005年に玉島商工会議所によって初めて「産業観光バスツアー」が開催されました。

 玉島地区で開始された産業観光の取組はその後倉敷市全体へと広がりを見せ、2010年には玉島、児島の両商工会議所に倉敷市などが加わって「産業観光ツアー連携委員会」が発足し、官民連携による産業観光を推進する体制が構築されました。

 このように、産業観光の推進には企業側の理解や協力に加え、行政、地域住民との連携が不可欠となります。


(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)



記事提供:ゆりかご倶楽部
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