T 「生活に通常必要でない資産」に係る税制改正(所得税法改正)
平成26年も年末を迎えて終わろうとしています。
年末に当たって平成26年度税制改正の中から「生活に通常必要でない資産」に係る改正、
すなわち、ゴルフ会員権やリゾート会員権等(以下「ゴルフ会員権等」といいます。)に係る譲渡損失の金額が損益通算の対象から除外された改正及びこれらの資産の災害等から生じた損失の金額が雑損控除の対象外となった改正について、その経緯も交えながら述べてみたいと思います。
特にゴルフ会員権については「ゴルフ会員権に係る名義変更料は、ゴルフ会員権の取得費を構成するか否か」の訴訟で私は約10年間税理士補佐人としてその訴訟に携わり平成17年2月1日・最高裁第三小法廷において完全勝訴判決を得たなつかしい思い出があります。
1.ゴルフ会員権等の改正の経緯
(1) 「生活に通常必要でない資産」の経緯
「生活に通常必要でない資産」は改正前においては、次のように規定(以下「旧法」といいます。)されていました。
「通常自己及び自己と生計を一にする親族が居住の用に供しない家屋で主として趣味、娯楽又は保養の用に供する目的で所有するものその他主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する不動産」 (所令178@二・所法62@)
旧法では対象物件を不動産と規定しています。
ゴルフ会員権等は権利であることから平成26年度税制改正においては、旧法の「不動産」を「資産」に改正して、まず「生活に通常必要でない資産」の中に「ゴルフ会員権等」を挿入した経緯があります。
(2) ゴルフ会員権等の譲渡損失に係る損益通算の経緯
ゴルフ会員権等の譲渡損失の金額に係る損益通算については、所得税法69条が旧法の規定をそのまま引き継いでいます。
その理由は、同規定の中に「生活に通常必要でない資産に係る損失の金額」は、他の生活に通常必要でない資産(例えば、美術工芸品等で1個又は1組の価額が30万円超のもの)の所得の金額から控除し、控除しきれないものは生じなかったものとみなす、という規定を踏襲することにして除外しているからです(新所法69A)。
(3) ゴルフ会員権等の災害等損失に係る雑損控除の経緯
ゴルフ会員権等の災害等損失に係る雑損控除の適用については、
(2)と同様に旧法に「生活に通常必要でない資産の災害による損失の金額」は除外すると規定していることからその規定を踏襲し、改正後においてはゴルフ会員権等の災害等損失を雑損控除の対象外にしたということができます(新所法72@)。
(4) 留意点
今回のゴルフ会員権等の損失の金額に係る損益通算からの除外及び雑損控除からの除外については、別荘が早期(昭和37年)に「生活に通常必要でない資産」に規定されて以降毎年ゴルフ会員権等の損失の金額の取扱いについて均衡上から問題となっていました。
私としては、ゴルフ会員権等の損失の金額に係る平成26年規制は、やや遅きに失したものといえます。
さらに今回の改正においては、損益通算及び雑損控除の条文を改正せず、生活に通常必要でない資産の条文(所令178@二)のみを改正し規制したこととその適用は、平成26年4月1日以後の譲渡等としたことには注意する必要があります。
U 12月の税務
給与所得の年末調整を皮切りに税繁期に突入します。
来年の忙しい仕事も見込して健康で頑張って下さい。
記事提供:ゆりかご倶楽部
12月1日朝時点での新着情報は、以下の通りです。
国税庁ホームページ掲載日:平成26年12月1日
●「平成26年分 確定申告特集ページ(準備編)」を開設しました
国税庁ホームページ掲載日:平成26年11月28日
●「平成27年版 源泉徴収のあらまし」を掲載しました(平成26年11月)
●モノクロOCR帳票(消費税及び地方消費税の確定申告書)の仕様公開(平成26年11月)
●OCR帳票(消費税及び地方消費税の確定申告書)の仕様公開(平成26年11月)
●酒類の輸出統計(平成26年9月分)を掲載しました。
●第44回アジア税務長官会合(SGATAR)声明(2014年11月27日 於:オーストラリア・シドニー)
●「消費税関係申告書等の様式の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)(平成26年10月27日)
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