■資産課税編
資産課税については、改正項目の多くは拡充、期限の延長です。
以下、その内容を概観していきます。
●住宅取得等資金贈与の非課税枠の見直し
直系尊属から贈与された住宅取得等資金の非課税措置については、その適用期限を平成31年6月30日まで延長しています。
また、非課税限度額についても、住宅取得等に消費税10%が適用される場合とそれ以外の場合に分け、その上で、良質な住宅とそれ以外に区分し、
消費税10%適用の場合、住宅取得に係る契約の締結期間が平成28年10月〜平成29年9月までは、良質な住宅取得には非課税枠は最大3,000万円、それ以外の住宅取得には最大2,500万円とする等の改正が行われています。
さらに、良質な住宅家屋の範囲に、一次エネルギー消費量等級4以上に該当する住宅家屋等が加えられています。
なお、東日本大震災の被災者に関しても一部非課税限度額が異なるものの同様な改正がなされています。
●結婚・子育て資金の贈与税の非課税措置
具体的な内容は、
@親・祖父母(贈与者)は金融機関に子・孫(受贈者20歳以上50歳未満)名義の口座を開設し、
A当該口座に結婚・子育て資金を一括して拠出、
B子・孫ごとに1,000万円を非課税とする、
C贈与者死亡時の残高を相続財産に加算するが2割加算はない、
D受贈者が50歳に達する日に口座は終了し残高があれば贈与税を課税、
E適用期限は、平成27年4月1日〜平成31年3月31日まで、とするものです。
なお、結婚・子育て資金の払出し可能な使途ですが、結婚費用(限度額300万円)、不妊治療、子の保育費、出産費用等が挙げられています。
●教育資金贈与の一部見直しと期限延長
適用期限は、平成31年3月31日まで延長、そして、特例適用対象となる教育資金の使途の範囲に、通学定期代、留学渡航費等が加えられています。
●非上場株式に係る納税猶予の一部見直し
非上場株式の相続税・贈与税の納税猶予について、事業承継の円滑化の観点から贈与税の納税義務が生じないよう一部改正がなされています。
具体的には、1代目が存命中に、2代目が3代目に株式を贈与した場合(3代目が納税猶予制度を活用して再贈与を受けること)には、猶予されていた贈与税の納税義務が免除される等の改正です。
■納税環境整備編
納税環境整備に関しては、改正の柱は、財産債務明細書の見直しとマイナンバー制度の預貯金情報等への利用です。
以下、その内容について概観してみます。
●財産債務明細書の見直し
大綱では、財産債務明細書について、次の見直しを行い、新たに、財産債務調書として整備する、となっています。
(1)提出基準の見直し
現行の「所得金額2千万超」に加え「総資産3億円以上又は有価証券等(出国する場合の譲渡所得等の特例対象資産)1億円以上(12月31日時点)を基準とする。
(2)記載内容の見直し
記載内容は、国外財産調書と同様とし(例:不動産は所在地別に、有価証券等は銘柄別に記載)、価額も原則として時価(見積価額も可)とする。
なお、出国時特例に活用する観点から、有価証券等については取得価額も併記する。
(3)加算税の加減算によるインセンティブ措置の導入
所得税・相続税の申告漏れがあった場合、
@財産債務調書に記載がある部分については、過少(無)申告加算税を5%軽減する(所得税・相続税)。
A財産債務調書の不提出・記載不備に係る部分については、過少(無)申告加算税を5%加重する(所得税)。
(4)その他
@財産債務調書の提出に関する調書に係る質問検査権の規定を整備する。
A不提出及び虚偽記載に係る罰則規定は設けない。
B財産債務調書の記載に係る事務負担が過重なものとならないよう、運用上、適切に配慮する。
この改正は、平成28年1月1日以後に提出すべき財産債務調書について適用されます。
●マイナンバーが付された預貯金情報の効率的な利用に係る措置
この改正措置は、行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(番号利用法)の改正に併せて国税通則法を改正し、銀行等に対し、個人番号及び法人番号(マイナンバー)によって検索できる状態で預貯金情報を管理する義務を課するものです。
この改正は、個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法案(仮称)において一括して行われ、同法律案に規定する施行の日から適用されます。
記事提供:ゆりかご倶楽部
2月3日朝時点での新着情報は、以下の通りです。
国税庁ホームページ掲載日:平成27年2月2日
●酒類の輸出統計(平成26年11月分)を掲載しました。
●「国税専門官試験の試験概要」を更新しました
国税庁HP新着情報 |
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