「うるう年」と同じように、「うるう秒」というものがあります。
うるう年は暦と太陽などの天体の運行とのずれを補正するため、4年に一度、2月末日に「1日」を挿入するものです。
同じように、標準時刻と天体の運行とのずれを調節するものがうるう秒です。
現在、時刻の基準は「標準時」というものが元になっています。
そして、標準時は、原子時計という極めて正確な時計に基づいております。
ところが、地球の自転速度は原子時計と比べると正確さの点で劣ります。
速度は一定ではなく、時おり遅くなることがあります。
その結果、標準時と天体の運行との間にずれが生じてしまいます。
そのまま放置しておくと、数百年後には、正午のときに太陽が南からわずかにずれたところにあるといったことも起こりえます。
こうしたずれを防ぐため、時刻を補正するのがうるう秒です。
決められた年の決められた日(1月1日か7月1日のどちらか)に「1秒」を挿入することになっています。
うるう秒の調整は1972年から数年に1回程度行われてきました。
ただし、地球の自転速度の変化はいつ起こるか予測できません。
実施日時の決定は、国際地球回転・基準系事業(IERS)という地球の回転を観測している組織が行います。
観測結果が標準時と天文の運行との差が0.9秒を超えるときにうるう秒の調整を決定します。
今年は、うるう秒の調整の年で、7月1日9時の直前に1秒が挿入される予定です。
この日だけ8時59分59秒の次は8時59分60秒になるのです。
その結果、2015年7月1日はほかの日よりも一日が1秒、長くなります。
実は、「うるう秒」については、廃止の議論が持ち上がっています。
というのは、1秒を挿入することで、コンピュータなどに想定外のトラブルが生じる恐れがあるからです。
前回のうるう秒の調整は、2012年7月に行われました。
そのときは、ソーシャル・ネットワーキング・サービスがアクセスしづらくなる、海外の航空会社でシステム障害が起き、400便以上に遅れが生じる、さらには、いくつかのウェブサイトでは、サーバーの時刻がずれる、といったトラブルが報告されています。
いずれも軽微なトラブルですみましたが、今後、予想を上回る大きなトラブルが発生する可能性はゼロではありません。
実際、うるう秒を廃止した場合、天体と標準時のずれは40年で24秒程度といわれています。
さほど大きなずれではないため、なかには、現状の1秒を調整するのではなく、40年まとめて24秒を調整すればよいのではないかといった意見も出ています。
こうした廃止論は出ているものの、世界全部の国が廃止を主張しているわけではありません。
日米をはじめとするIT先進国の多くは廃止に賛成しています。
そのなかで、イギリスは、19世紀からグリニッジ天文台で世界の標準時刻を決めてきた伝統もあり、正確な時刻へのこだわりから、廃止には反対しています。
11月にはスイスのジュネーブで開催される世界無線通信会議で、うるう秒を廃止するかどうかを議論する予定です。
廃止か継続か、いずれにしろ今年の7月にはうるう秒の調整があります。
まずは、この日、何らかのシステム障害が生じる可能性があることを意識しておくことが必要です。
(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)
記事提供:ゆりかご倶楽部
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