T 「二重課税の防止」と「二重非課税の防止」
最近わが国における税制に「国際税務」が重点的に取り上げられることになりました。
従来の国際税務は、外国で課税された税額に係る「二重課税の防止」が主たる事項でした。
しかし、最近の国際税務は「二重課税の防止」に加えて「税源浸食と利益移転」すなわち(BEPSベップス:Base Erosion and Profit Shifting)に対する「二重非課税の防止」の二本建てになったということができます。
1 「二重課税の防止」について
歴史的には、国境をまたがる投資等について、二重課税を防止するための次の共通基準の策定を中心として国際税務が進められ、引き続き現在も国際税務の中心課題です。
(1) モデル租税条約に係るもの:3,000を超える二国間の租税条約の基礎となっているもの
(2) 移転価格ガイドライン:多国籍企業グループの中における所得の配分に関する共通基準を提示するもの
2 「二重非課税の防止」について
租税条約上、有価証券等のキャピタルゲイン(売買差益)は、有価証券等を売却した者が居住している国に課税権があるとされています。
所得税法では、国外に1年以上居住している者を非居住者に区分(所令15)し、居住者は国外での所得も国内の所得と同様に課税されますが、非居住者は国外の所得には課税されません(所法7)。
これを利用し、巨額の含み益のある有価証券等を保有したまま日本からキャピタルゲイン非課税国(シンガポール、香港、ニュージーランド、スイス等)に出国し、
非居住者となった後に当該株式等を売却することで、日本においても出国先においても課税を免れる「二重非課税」の状態が実現します。
そこで先進諸国では、出国時の有価証券等の譲渡所得課税の特例を設け、税負担回避の防止を図っています。
その特例を導入している国は次の15か国です。
オーストラリア、オーストリア、カナダ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、イタリア、ニュージーランド、ノルウエー、オランダ、スペイン、スウェーデン、イギリス、アメリカ。
そこで2014年(平成26年)9月に公表されたOECD(経済協力開発機構:現在先進国34か国加盟、目的…@経済成長、A貿易自由化、B途上国支援、本部…フランス・パリ)のBEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクト報告書が、出国時の有価証券等の譲渡所得課税の特例を二重非課税の防止措置として位置付けました。
これを受けて、わが国でも平成27年度税制改正において、所法60の2(国外転出をする場合の譲渡所得等の特例)が新設されました。
この新設規定の主たる内容は、次の@〜Bのとおりです。
@ 1億円以上の有価証券等(対象資産)を保有する者が、平成27年7月1日以後に非居住者となるような国外転出した場合に未実現利益に課税することを原則とします。
A @の課税は、相続・贈与により非居住者に対象資産を取得させた場合にも同様の課税が行われます。
B 一時的な出国予定者又は納税資金不十分な者は、納税管理人の届出の下で出国時までに担保を提供すれば納税猶予の特例が受けられます。
この「二重非課税の防止」は、今後の実務として注目する必要があるでしょう。
U 4月の税務
3月の確定申告が終わり一休のところでしょうが税務調査の多い月です。
準備しましょう。又固定資産税課税台帳の縦覧期間(4/1〜4/20)の月です。
記事提供:ゆりかご倶楽部
国税庁HP新着情報
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