諫早湾の干拓事業をめぐる訴訟で、原告側の漁業者が国から受け取った制裁金≠ノ対して国税庁が所得税を課税する見解を示していることが分かりました。
漁業者側は所得にはあたらないと反発しています。
諫早湾をめぐっては、国による干拓事業のせいで海産物が獲れなくなったとして漁業者側が国を提訴し、福岡高裁が開門調査を命じる判決を平成22年に出しています。
しかし開門すると堤防内にある調整池の水が使えなくなるため、農業に被害が出ると主張する営農者らもいて、長崎地裁は開門差し止めの仮処分という逆の判断を下していました。
こうした経緯を受けて国が開門を行わないため、漁業者側が訴えを起こしたところ、佐賀地裁は国に制裁として支払うべきお金について命じました。
漁業者側が受けるこの制裁金≠ヘ26年6月から原告1人あたり1日1万円が支払われ、今年3月からは倍額の2万円が支払われています。
支払われた制裁金は今年3月末時点で計1億3500万円に上りますが、今後の司法判断次第では返納を求められる可能性があるため、漁業者側は制裁金を配分せずに弁護団長の個人口座にプールしているそうです。
国税庁はこの1億3500万円が「漁業者の個人所得にあたる」として、昨年夏に漁業者側に所得税の納付義務があるとする見解を通知しました。
漁業者側は申告したものの、国の制裁金が所得にあたるとの判断には反発。
弁護団の馬奈木昭雄団長は「脱税を回避するために申告はしたが、いずれ争うつもり」とコメントしています。
所得税法では損害賠償金などを非課税対象とする除外規定がありますが、制裁金についての規定はありません。
<情報提供:エヌピー通信社>
記事提供:ゆりかご倶楽部
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