個人番号の取得・提供
はじめに
平成28年1月から実施される「社会保障・税番号制度(いわゆるマイナンバー制度)」により、全ての民間事業者が平成28年1月までに、取引先、株主、従業員及び顧客等から個人番号の提供を受けて、関係機関に提出する書面に記載が求められます。
本稿では、平成27年10月から配賦される個人番号の取得・提供について解説します。
T 個人番号の定義
「個人番号」とは、既存の住民票コードを変換して得られる番号であって、住民票を有する個人を識別するために指定されるものとされます(番号法5)。
したがって、日本国籍を有していても住民票がない者は指定を受けられません。
また、外国籍であっても中長期在留者及び特別永住者などで住民票を有していれば指定が受けられます。
U 個人番号の通知
平成27年10月から住民票に記載された住所に市区町村から個人番号が記載された「通知カード」及び「個人番号カード交付申請書」が世帯単位で郵送(簡易書留)されてきます。
通知カードは紙製で、券面には@氏名、A住所、B性別、C生年月日の「基本4情報」と12桁の個人番号が記載されています。
V 個人番号カードの取得
紙製の「通知カード」を受け取った個人は、「個人番号カード交付申請書」に申請者の写真を添付して市区町村に返信し、平成28年1月以降にプラスチック製の「個人番号カード」の交付を受けることができます(番号令13@A,カード省令20〜22)。
この際、「通知カード」と「個人番号カード」の両方を保有することはできませんので、「通知カード」は返納することとなります。
「個人番号カード」の表面は、前述した「基本4情報」及び顔写真が記載されており、一般的な写真付きの身分証明書として利用(コピー可)できます。
また、裏面は、個人番号が記載されており、行政機関及び雇用主など法令で規定された者のみが利用(コピー不可)できることとされています。
W 個人番号の提供と本人確認
平成28年1月より民間事業者が作成する書類のうち、
源泉徴収票等、健康保険・厚生年金・雇用保険の被保険者資格取得届等には個人番号の記載が必要となります。
そこで、@従業員とその家族、A派遣労働者、B株主、C不動産の貸主などから個人番号の提供を受けることとなります。
なお、民間事業者が従業員等から個人番号の提供を受けるときには、
他人の個人番号を提供する「成りすまし行為」を防止するため、本人確認の措置を行う必要があります(番号法16,番号令12,番号規1〜4,同規6〜11)。
この本人確認の方法としては、「番号確認」と「身元確認」が必要とされており、@個人番号カード、A通知カード+運転免許証
又は旅券(パスポート)など、B住民票の写し+運転免許証又は旅券(パスポート)などの方法が想定されています。
なお、従業員の家族などの本人確認は、その従業員が行うこととされており、扶養控除等申請書に扶養親族等の個人番号を記載して事業者に提出することとされています。
おわりに
平成27年10月以降、民間事業者は従業員等から個人番号の提供を受けることとなります。
この場合、個人情報保護の観点から提供を受けた個人番号の保管及び廃棄への厳格な対応も求められることとなります。
また、民間事業者の情報担当者などが従業員等の個人情報を外部に漏らした場合には、懲役及び罰則刑が課されます。
個人番号の厳重な管理体制が求められますので、早急に対応を検討しましょう。
税理士法人右山事務所 所長 宮森俊樹
記事提供:ゆりかご倶楽部
10月1日朝時点での新着情報は、以下の通りです。
国税庁ホームページ掲載日:平成27年9月30日
●「平成27年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」を掲載しました
●平成26年分民間給与実態統計調査結果について(平成27年9月)
●平成27年9月関東・東北豪雨に伴う茨城県の一部の地域における国税の申告期限等の延長について
●「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)(平成27年9月30日)
国税庁HP新着情報 |
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