日本税理士会連合会(日税連)の神津信一会長は、平成28年度税制改正大綱に消費税の複数税率導入が盛り込まれたことに対して、「深く遺憾」とするコメントを表明しました。
日税連はこれまで単一税率制度の維持を強く主張していましたが、今回の大綱でその主張は受け入れられませんでした。
税制改正大綱によると、消費税の複数税率は、消費税率が10%に引き上げられる29年4月から導入される見通しです。
その4年後には、事業者が発行する請求書に適用税率や税額の記載を義務付ける「インボイス方式」という経理の仕組みがスタートします。
日税連は消費税の複数税率について、対象品目の公平な選定が困難なこと、区分経理などで事業者の事務負担が増加すること、低所得者対策として非効率であること、財政再建が損なわれて社会保障給付の抑制が必要となることなどの観点から、単一税率制度の維持を強く主張していました。
しかし税制改正大綱に複数税率の導入が盛り込まれ、神津会長は、「深く遺憾の意を表する」と要望が通らなかったことに対する無念の意を述べました。
そのうえで、複数税率による新たな事務負担で事業者の活力が失われないよう、税務の専門家として、納税義務の適正な実現を図るという社会公共的使命を果たすとしています。
さらに、複数税率が内包する欠陥や想定される問題点を明らかにして、改善策を提言していくことも付け加えました。
なお、法人実効税率のさらなる引き下げが前倒しされることについては、「その趣旨に賛意を表する」とコメント。
また、事業税の外形標準課税強化には、中小企業に一定の配慮があったことを評価しています。
<情報提供:エヌピー通信社>
記事提供:ゆりかご倶楽部
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