株主代表訴訟などに備えて役員が加入する「会社役員賠償責任保険」の保険料を会社が負担した場合、これまでは役員の給与所得として課税対象とされてきましたが、今後は一定の要件を満たせば非課税になることが明らかになりました。
会社役員賠償責任保険は、役員業務遂行に起因する損害賠償請求で発生した損失を補償する保険。
損害賠償金のほか、賠償責任に関する訴訟費用・弁護士費用などの役員の支払いの負担がカバーされます。
見直しの契機は、経済産業省の研究会が昨年7月24日に公表した報告書「コーポレート・ガバナンスの実践〜企業価値向上に向けたインセンティブと改革」で、
会社が@取締役会の承認、
A社外取締役が過半数を占める任意の委員会の同意または社外取締役全員の同意の取得――
の2点の手続きを経れば、株主代表訴訟敗訴時担保部分の保険料を会社が会社法上適法に負担できると明確化したことにあります。
これを受けて経産省は、国税庁に対し、会社負担が会社法上適法とされたことを受けて税法の取り扱いもそれを反映するのかどうかを確認(文書照会)。
国税庁は2月下旬、前記@とAの手続きをすることで会社法上適法に負担したときは、役員に対する経済的利益の供与はないと考えられるため、「役員個人に対する給与課税を行う必要はない」と回答しました。
幹部個人への訴訟リスクが高まりを見せるなか、役員が保守的になってしまって積極的・独創的な経営判断ができなくなることのないよう、税務の取り扱いが変わったことをきっかけに会社役員賠償責任保険の加入を検討する会社が多少なりとも増えることが予想されます。
<情報提供:エヌピー通信社>
記事提供:ゆりかご倶楽部
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