通勤手当の非課税限度額の引き上げ
はじめに
平成28年度税制改正では、通勤手当の実態又は通勤用定期券の発行状況を勘案して、その非課税限度額が月15万円(改正前:10万円)に引き上げられることとなりました。
そこで、本稿では、通勤手当の非課税限度額の改正点の概要及びその実務上の留意点について解説します。
T 通勤手当の非課税制度の概要
給与所得を有する者で通勤者がその通勤に必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のために支出する費用に充てるものとして通常の給与に加算して受ける通勤手当(これに類するものを含みます。)のうち、一般の通勤者につき通常必要であると認められる非課税限度額に達するまでの金額については、所得税が課されません(所法9@五)。
※参考URL「図表:非課税とされる通勤手当の範囲(改正後)」をご参照ください。
U 非課税限度額
所得税法上、非課税とされる通勤手当とは、「通勤に係る運賃、時間及び距離等の事情に照らして最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法による運賃又は料金」とされています。
そこで、非課税とされる部分を超える金額は、給与として課税されることとされます。
なお、改正後における非課税とされる通勤手当の範囲は、図表に掲げる金額とされます(新所令20の2)。
V 新通勤手当の適用関係
図表における非課税限度額の引き上げの改正は、新通勤手当(平成28年1月1日以後に受けるべき通勤手当及びこれに類する手当をいい、同日前に受けるべきこれらの手当の差額として追給されるものを除きます。以下同じ)について適用し、同日前に受けるべき「改正前の非課税とされる通勤手当(旧所令20の2)」に規定される通勤手当(同日以後に受けるべき通勤手当で同日前に受けるべきものの差額として追給されるものを含みます。)については、なお従前の例によることとされます(平成28年改正所令附則2@)。
なお、新通勤手当で平成28年4月1日前に受けたものに係る「源泉徴収義務及び徴収税額(所法4編2章1節)」の規定の適用については、前述した「新通勤手当の適用関係(平成28年改正所令附則2@)」の規定にかかわらず、なお従前の例によることとされます(平成28年改正所令附則2A)。
おわりに
平成28年税制改正によって、東京・新大阪から200キロメートル圏の新幹線通勤が非課税限度額としてカバーされます。
なお、特定の役員又は使用人のみ新幹線通勤を認めている場合には、新幹線料金部分は通常の通勤経路及び方法による運賃には該当しないこととされます。
また、「特別車両料金等(いわゆるグリーン料金)」も非課税限度額の範囲の対象となりません(所基通9−6の3)。
税理士法人右山事務所 所長 宮森俊樹
記事提供:ゆりかご倶楽部
5月13日朝時点での新着情報は、以下の通りです。
国税庁ホームページ掲載日:平成28年5月12日
●平成28年度 法人税関係法令の改正の概要(平成28年5月)
国税庁HP新着情報 |
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