2016年4月1日、電力の小売全面自由化となりました。
従来、家庭などで利用する電気は、地域ごとに決められた電力会社のものを使用するようになっていました。
たとえば、東京都在住の一般家庭や商店ならば、東京電力以外の事業者を選ぶことができませんでした。
今回、電力の小売が自由化され、利用者は電力会社や新しい料金プラン、サービスを選べるようになったのです。
これまでも、工場などの大口消費者については、電力の小売自由化は実現しています。
今回は、家庭や商店などにおいても、電力会社を選べるようになった点が大きな変化といえます。
電気の利用者にとって、自由化のメリットは、従来の電力会社よりも安い料金の会社を選ぶことにあります。
結果、電気代を安く抑えることが可能になります。
料金プランは電力会社により、複雑な体系となっていますが、概ね、年間電気料金が15万円超の世帯なら1万円前後安くなります。
なかには、大手電力会社の料金から一律5%引きといったわかりやすい料金体系を打ち出している会社もあります。
自由化がはじまり、4月1日時点で、既存の電力会社から新電力会社に切り替えを申し込んだ件数は約53万件に上りました。
そのうち、9割弱が首都圏と関西圏に集中しています。
東京では、数日間で24万件もの切り替え申し込みを獲得した新規の電力会社もある一方で、九州にある会社のなかには、獲得した契約の件数が約300にとどまっているところもあります。
まだ、開始したばかりではありますが、現状では、自由化の浸透具合は、地域により格差があるといえます。
家庭向け電気市場は8兆円規模に上るといわれており、新規参入には事業としての魅力が多くあります。
電力を自由に販売するには、小売電気事業者として登録しなければなりません。
現在、登録済みの事業者は約60社あるといいます。
そのなかで、契約数を伸ばしているのがエネルギー関連企業で、東京ガスや石油元売りのJXエネルギーなどがあります。
ほか、鉄道会社の東京急行電鉄グループ会社、旅行会社のHISや生協など、幅広い業種の企業がビジネスチャンスととらえ、電力の小売り事業に参入しています。
契約数の成否は、料金プランでどれだけ「お得感」を出せるかがポイントとなります。
ただ、それだけではありません。
たとえば、自社の顧客との接点を強みにして契約数を伸ばしている企業もあります。
一例を挙げると、東京ガスは、従来から点検などで個々の家庭を訪問しています。
点検と同時に、電気の料金プランや電気代が節約できる点を説明することで、新規に顧客を獲得しています。
電力の自由化といっても、一般にはどの程度お得なのか、あまり知られていません。
そこで、個々に家庭を訪問し、直接プランを説明することが契約に繋がりやすいといえます。
ただ、顧客の家を訪問する機会のない企業でも、石油のJXエネルギーのようにガソリンや軽油のクレジットカード払いの値引き幅が上乗せされるサービスを提供し、成功しているところもあります。
このほか、価格比較サイトの「価格.com」などを活用したマーケティングも可能です。
こうしたことから、アイデア次第で電力の小売事業はチャンスの宝庫ともいえます。
(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)
記事提供:ゆりかご倶楽部
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