地方においては、地元中小企業同士が協同組合の設立によりショッピングセンターなどを建設する取組みがかつて推進されてきました。
しかし現在、それらの多くが大型店の地方への進出などの影響を受けて厳しい経営を余儀なくされています。
中小企業の協同組合設立による組織化が推進された背景としては、高度経済成長期における中小企業政策の主たる課題が、小企業・零細企業における賃金の低さや生産性の低さの解消にあったことがあげられます。
このため中小企業の企業規模の適正化を図り、規模の小さなことに起因する不利の是正を行うことが中小企業政策の重要な柱とされてきました。
これが中小企業の高度化(事業の共同化、組織化の促進)と言われるものであり、組合等を設立して工場団地、卸団地、ショッピングセンターなどを建設する事業に対して事業計画の診断等を受けることを条件に長期低利の政策金融による融資を行う「中小企業高度化資金」などを適用することによって、協同組合の設立によりショッピングセンターなどを建設する取組みが進められたのです。
こうした取組みの課題としてあげられるのは、第一に、協同組合は相互扶助の価値基準の下、議決権が原則1組合員に一つ配分され、組合員である個別中小企業が共同経営する組織構造のため意思決定に手間取り抜本的な経営改善策が打ちにくいという点、第二に、個々の組合員の中小企業者のIT導入が遅れているなどの理由によって情報の共有化が図られていない点、第三に「中小企業高度化資金」の適用にあたっては、地域の厳しい環境を踏まえた経営指導のできる専門家が不足している点です。
では、地域における共同店舗の運営にあたっては今後どのようなことが求められるのでしょうか。
中小企業は経営資源に制約があることから単独で製品開発や販路開拓を行うことは容易ではありません。
特に地方の中小企業が置かれている経営環境は厳しいことから、中小企業同士が連携することでお互いの経営資源を補完することが求められます。
従来の中小企業の高度化の推進では、業種別の組合設立が中心でしたが、時代の変化に伴い異業種間の連携やネットワークに基づく組織化が求められるようになってきています。
一方で、全国には協同組合の組織形態をとりながらも販路開拓、ブランド構築、人材確保などに成功している事例もあります。
これらの成功事例に共通する要素としては、@連携にあたってのコンセプトが明確であること、A個々の組合員がIT導入など情報化に積極的で組合員間の情報共有が図れていること、B身の丈に合った事業規模で事業を展開していることなどがあげられます。
しかしながら、協同組合による運営の場合、迅速かつ大胆な経営と民主的な運営とのバランスをどのようにとるかという課題は依然として残されています。
収益性の確保という観点からは、組織の規律保持に関して法による干渉の度合が高く、営利目的の事業に適した株式会社設立による運営が採用されるケースもあります。
協同組合、株式会社の組織形態のいずれをとる場合でも、地域を取り巻く経営環境が厳しさを増す中、経営環境の変化に迅速かつ大胆に対応できるリーダーシップを有した人材が求められるのです。
(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)
記事提供:ゆりかご倶楽部
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12月22日朝時点での新着情報は、以下の通りです。
国税庁ホームページ掲載日:平成28年12月21日
●第17回酒類分科会説明資料を掲載しました
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