海外の親会社から付与されたストックオプション(有利な価格で株式を購入する権利)による所得が「一時所得」になるのか、それとも「給与所得」なるのかを巡って争われている裁判で、8月4日、東京高裁が「給与所得」とする国側の主張を認める判決を下しました。
ストックオプションは社員や役員に仕事へのヤル気を喚起させるインセンティブとして、日本でも多くの企業が導入しているものです。
そのため、自社の役員や社員に与えるストックオプションについては、会社が権利を与えた段階では課税関係が生じないよう法律で規定されています。
問題は、親会社が子会社や関連会社の役員や社員にストックオプションを与えた時にどうなるのか、ということです。
したがって、今回の東京高裁の秋山壽延裁判長の「雇用契約またはこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付にあたり給与所得に当たる」との判断は、非常に大きな影響があります。
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というのも、一時所得は、所得の半額に所得税が課税されますが、給与所得となると全額が課税対象だからです。
今回の裁判の一審では「就労と相関関係が認められない偶発的な給付」として一時所得とされていましたが、秋山裁判長は「給与所得かどうかの判断で従属的労働提供の見返りとして給付されれば、数量的な相関関係が認められなくとも、担税力に質的な相違を認めるべきではない」と相関関係を否定しました。
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